中小企業金融円滑化法の出口戦略(その2) ~円滑化法終了後も金融庁の検査・監督の方針は変わりません~

執筆:磯村幸一郎中小企業診断士

 

前回のコラムで『出口戦略の対象となる債務者を3つに分け、「事業の持続可能性が見込まれない債務者」については貸付条件変更も機械的に応じるのでなく、慎重かつ十分な検討を行う(応じないこともある)』と述べました。金融機関によっては債務者の選別をするところも出始めました。そのためか10月度は「円滑化法」関連の倒産が過去最多の31件(東京商工リサーチ調べ)となっております。

これらを勘案し、24年11月1日に金融担当大臣が「中小企業金融円滑化法の期限到来後の検査・監督の方針」と題して談話を発表しております。

同談話のポイントは以下のとおりです。

    「金融機関が貸出条件の変更等や円滑な資金供給に努めるべき」ということは円滑化法の期限到来後も何ら変わらないし、金融庁もこれを促していく。また、金融庁の金融検査・監督の目線やスタンスは、円滑化法の期限到来後も何ら変わらない。

    中小企業向け融資に当たり、条件変更等を行っても不良債権にならないための要件(「経営改善計画が1年以内に策定できる見込がある場合」や「5年以内(最長10年以内)に経営再建が達成される経営改善計画がある場合」)については、今後も変わらず恒久措置である。

    中小企業が抱えている経営課題解決の最終期限が「来年3月末」ということではない。すべての借り手に来年3月末までに何らかの最終的な解決を求めるものではない。

    「中小企業の経営支援のための政策パッケージ(平成24年4月20日公表)」は来年3月で終わるのではない。ここに掲げた施策の推進に引き続き取り組んでいく。

具体的内容としてあげている「企業再生支援機構及び中小企業再生支援協議会の機能強化、・連携強化」は24年731日付「日本再生戦略」のうちの「中小企業戦略」の「重点施策:金融円滑化法の期限到来も踏まえた中小企業等への支援」にも同旨のことが述べられています