もし、リーマンブラザーズが、リーマンブラザーズ&シスターズだったら、今も存続していたのではないか。

執筆:中村良一(中小企業診断士)

 

 標題のことばは、今年9月、安倍首相がニューヨーク証券取引所で講演した際、米コラムニスト、アリアナ・ハフィントンさんのことばを引用したものです。女性聴衆から予想外に大きな拍手が起きたといいます。

男たちは、「睡眠時間が少ないことを自慢」し、「超多忙なことが、超生産的だ」と誤解している。そのような男たちは、行く先で待ち構える「氷山」を見過ごしがちだ、と彼女は言うのです。女性の方がそのような視野を持つことができるのですね。

 イギリス・リーズ大学による17千社を対象とした調査では、女性役員が1人以上いる企業では、女性役員のいない企業と比べて、破たんする確率を20%減らすことができるそうです。

 また、安倍首相には米民主党のヒラリー・クリントン前国務長官から10月に手紙が届いたそうです。「この課題に対する首相の支持について長く注目してきた」「女性による貢献で、日本経済が繁栄するという将来ビジョンを明瞭に訴えてくれたことに感謝する」などと強調。その上で、「私は首相のパートナーであることを誇りに思っており、いかなる方法でも支援していく考えです。前進あるのみ!」との激励で締めくくられています。

 私は、日本の女性経営者の育成支援に多くの努力をされている方を知っています。株式会社桜ゴルフの佐川八重子社長なのですが、この方は、ご自身で「経済界」誌のフラワー賞、日刊工業新聞社の婦人経営者賞、また米のNPOザ・スターグループのThe Leading Women Entrepreneurs of the World(世界優秀女性企業家賞)等を受賞されており、東京産業人クラブの女性部会会長としてご活躍をされています。佐川社長の会社は、ゴルフ会員権の売買をしており、現在43年の歴史を誇っているのですが、たいへんなご苦労をされたようです。そんな方ですから、バブル崩壊期に軒並み同業者が倒産する中を、現在まで引っ張ってこられたのですね。今もゴルフ場は選別の時代にあります。「こんなゴルフ場の会員権は買ってはいけません。」と言えるのは、おそらく日本では佐川社長だけ。男性ならば「売らんかな」の志向から離れることが難しいですよね。ゴルフ業界の信頼回復と健全化、女性経営者支援で日本経済への貢献が佐川社長のライフワークと言ってもよいかと思います。やはり女性は男性より広い視野を持っているのかも知れませんね。