2026年7月20日 向井実
みなと横浜で事業を行っている事業者さま、
横浜は、1859年7月1日(安政6年6月2日)日米修好通商条約による開港から167年、今や日本最大級の港町・国際都市として発展してきました。
一方、昨今の日本国内における訪日観光客数は年間4,000万人を超え、在留外国人数も400万人を超える勢いです。事業者さまの周りはいかがでしょうか?


私たち、NPO法人横浜中小企業診断士会にも、「インバウンド顧客向けの新サービスを立ち上げたい」、「訪日外国人向けの効果的なSNSサイトを作りたい」、「外国人労働者を雇いたい」、「長く働いてもらえるように、技能実習生を特定技能に移行させたい」・・・など、国際都市・横浜らしい相談が多く寄せられるようになってきました。
今回の「横浜経営コラム」では、この様に訪日観光客と在留外国人が激増する中、外国人労働者を雇用して、インバウンド観光客と在留外国人を顧客ターゲットとした新規ビジネスの
(1)成功事例、(2)促進補助金・融資制度、(3)外国人労働者雇用での留意事項、を概観していきます。
(1)成功事例
事例①:インバウンド特化型「超多言語対応」の旅館・ホテル・民泊事業● 取り組み: フィリピンや中国出身のスタッフを雇用し、フロント対応だけでなく、英語・中国語による施設案内や周辺観光マニュアルの作成を彼ら主導で実施。さらに、スタッフ自身のSNSで母国向けに魅力を発信。
● 成果: 外国人宿泊者の口コミ評価が大幅に向上し、リピート率がアップ。日本人スタッフとの混成チーム(ペア制)にすることで、接客クオリティの底上げにも成功。
事例②:外国人スタッフによる「ローカライズ対応」飲食店・ツアー
● 取り組み: 在留外国人をガイドやホールスタッフとして雇用。単なる翻訳だけでなく「ベジタリアンやハラールへの細かな配慮」「外国人ウケするメニューの提案」をスタッフの意見から採用。
● 成果: インバウンド客の客単価が上昇。また、日本に住む外国籍の在留外国人コミュニティの「お気に入りスポット」としても認知され、安定した集客を達成。
(2)促進補助金・融資制度
外国人雇用や起業、インバウンド対応ビジネスを支援する公的な補助金や融資制度が用意されています。
● 補助金・助成金:
①外国人材への専門的研修支援助成金(厚生労働省、地方自治体): 外国人従業員の定着やスキルアップ(日本語研修、専門スキル研修など)にかかる費用を一部助成する制度。
②IT導入補助金 / 小規模事業者持続化補助金: インバウンド対応のための「多言語決済システム」「多言語ホームページ制作」「自動翻訳ツールの導入」などの経費として活用可能。
● 融資制度(日本政策金融公庫など):
①新規開業資金(無担保・無保証人の特例など): 新たにインバウンド・在留外国人向けビジネスを立ち上げる際、一定の要件を満たすことで無担保・無保証人で利用できる創業融資。
②地域活性化・雇用促進資金(または働き方改革推進支援資金): 外国人労働者を含め、地域で新たな雇用を生み出すビジネスや、就労環境の整備を行う事業者に対して低金利で融資を行う制度。
(3)外国人労働者雇用での留意事項
外国人労働者を雇用する際は、日本の労働法を守るだけでなく、近年の法改正や罰則強化に細心の注意を払う必要があります。
① 在留資格(ビザ)の厳格な運用
不法就労をさせてしまった場合、事業主は「不法就労助長罪」に問われます。「知らなかった」では済まされません。
② 労働条件の「多言語化」と明示
労働基準法は外国人にも100%適用されます。給与、勤務時間、社会保険への加入義務などは、本人が完全に理解できるよう「労働条件通知書」を交付して下さい。
③ 待遇の公平性(同一労働同一賃金)
「外国人だから」という理由で日本人より不当に低い給与にすることは違法です。同じ業務・責任であれば、同じ賃金を支払う「同一労働同一賃金」を徹底して下さい。
④ 言語・文化・宗教への配慮とコミュニケーション
礼拝時間・礼拝場所の確保など、宗教上の配慮、食事のタブーといった文化的背景をあらかじめ把握し、社内の日本人スタッフ側にも相互理解を促す研修を行うことが、トラブルや早期離職を防ぎ、外国人人材を最大限活かすポイントです。
是非、ご一緒に『みなと横浜』にて、新たなビジネスを立ち上げていきましょう。

【コラム執筆者】
向井経営法務コンサルティング 代表 向井実(mukai0707@gmail.com)
中小企業診断士、行政書士
新事業開発、人材育成、国際化支援アドバイザー